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今出川智恵光院上ルの旬菜咲やさんでランチ
何時、前を通っても人がいっぱい入っていて、前から気になってたのでいってみる。 日曜のお昼だったんだけど、その日も10席ほどのカウンターと2卓ある4人がけテーブル が全席埋まってた。 ところが、カウンターの中は大将一人。 ランチは、定食一品のみで選べないんだけど、魚だって焼いてあるし、決して 手抜きではできない定食。それでいて、調理、盛りつけ、水出し、片付け、勘定 全てを一人でやっている。だいぶん待たされるかなって思ったんだけど、ほとんど 待つことなく料理はでてくる。 食べている間にも、次々とお客さんがでていっては、新しい人が入ってくる。 大将は、ぱっと片付けて、魚をやいて、お金をうけとってを手際よくやっていき 常連さんとは会話も。 自分があんな状態におかれたら、間違いなくぱにくってしまうと思うけど、 笑顔もみせながら、なんなくこなす大将に惚れた。 食べている途中に、愚息が箸を落としてしまって、そのままぬぐって使おうと 思って、こちらから何もいわなかったのに、カウンターのなかで、調理を していた大将、音で気づいたのか、ぱっと新しい箸をもってきはった。 なんという注意力。 定食は、漬け物も本物で、味噌汁もちゃんと出しがとってあって、ご飯も美味しく、 何より魚の焼き加減がよかった。 次々にお客さんがやってくるのも、むべなるかなといった感じ。 次は是非、夜に魚を食べにいってみよう。
こないだ祇園をプラプラしてて、久しぶりに左近のランチを
食べに行きたくなって、左近が入っている雑居ビルの前まで いったら、”左近”の看板がなくなっていた。 どうやら、去年の9月でお店閉めはったみたい。 結局、ランチでしかお邪魔できなかった。 夜も行ってみたかったし、ああ、またBランチとか、オムライス とか食べたかったなあ。 そして、今日、ふと、松尾のリバティハウスを検索したら、 なんと、松尾らへんで有名な居酒屋グループ龍馬の グループ店になっちゃってた。 ちょっと前から、週末だけ空けるようになってたし、マスター 淋しそうな顔してはったので、ちょっと心配だったんだけど。 龍馬さんもあこらへんでは頑張ってる居酒屋さんだけど、 まあやっぱり多角経営してる居酒屋だし、明らかにリバティ ハウスの方向性とは違うし、お店の看板の写真をみただけで、 ちょっと悲しくなっちゃった。 タベログに載ってるメニューをみる限り、以前と内容は かわってないみたいなんで、おじさんが全く手を引いて しまったわけではないのかしらん?
市原にある地鶏料理の瀬戸さんに。
叡電の市原駅から徒歩5分、北大路堀川から車で15分くらいの 京都郊外にある鶏専門店。 もっと田舎な風景を想定していたら、郊外の住宅街のはしっこにあった。 京都市のゴミ処理場の巨大建築が後ろの山にドーンとそびえている。 いろいろ農機具が飾ってある、古い農家の再利用といった風情の建物。 料理は以下の通り。 ・鶏のいろんな部位の刺身 ・一品料理ちょこちょこ ・鶏のすき焼き ・卵雑炊 ・果物 刺身は、レバーでも全く苦みがなく、コリコリしてて美味しい。 魚の刺身大好きな愚息も、1人前以上パクパク。 予約の一時間前にしめるという鶏の肉は、固くなるので、冷蔵庫にも いれないとのこと。 全体の印象としては、 新鮮な鶏肉と、畑でとれたての甘味抜群の野菜。 コラーゲンでお肌つるつるの素敵なばあばシェフ。 以上。 といった感じ。 常連さんは刺身を食べるのに、岩塩を持ち込む人もいるとのこと。 自分的には味付けがはっきりしすぎてる感もあったので、それも ありかなって感じ。 卵雑炊は、すき焼きの残り汁で作るのではなくて、鶏の出汁で別に 作ったものがでてくる。 それもあっさりしてて美味だったけど、残り汁がもったいなかったので 無理をいって、パックにいれてもらい、家に帰って夕飯のうどんの出汁 に再利用。抜群に美味しかった。 ごちそうさまでした。 いつまでもお元気で。
郡上八幡に盆踊りへ。
事前に宿をいろいろ探していて、日本の秘湯の会のこちらとかも検討してみたけど 土砂崩れの通行止めなどもあって、郡上八幡から結構時間がかかって、 盆踊り参加が難しそうなので断念。 夕食は、奧美濃随一のイタリアンという評判の雀の庵さんにしようと思って いたところ、実はその雀の庵でも宿を始めたとの情報を得たので、早速、 電話してみたら、徹夜踊りから日程をずらしたこともあってか、あっさり 予約できた。 レストランは、郡上八幡の中心、郡上八幡旧庁舎記念館のすぐ裏手、 古民家使いの趣のある建物で、鯉やヤマメがわんさかいるいがわ こみちと、10メートル超の橋からのダイブと鮎で有名な吉田川に 挟まれているという抜群のロケーション。 バカラのグラスに囲まれたウエイティングルームや、昭和初期のたてものに よくある洋風応接間、気の利くイタリア人ウエイターと、料理への期待も高まる。 料理は、ちょうどシーズンということもあって、鮎尽くし。 目の前の吉田川でとれる鮎を、手を変え品を変えだしてくれる。 ディナーのフリットや、朝食ででたリゾットが秀逸だった。 ![]() 残念ながら、天然鰻は入手できなかったとのことだけど、冬のジビエも 美味しそう。 んで、オーベルジュなんで、宿もあるんだけど、こちらはレストランとは別棟で、 コンクリート打ち放しのモダン系。 モルトンブラウンのバスジェルをいれて入る猫足のバスが素敵。 とても気持ちよかったんで、帰ってから検索してみたら、100MLのトラベル サイズのシャンプー・リンス・バスジェルが、格安ショップでも1000円くらい。 なんてリッチなお風呂。
数ヶ月前のチケット発売日に、予約してたら、いつの間にやら、琴光喜はいなく
なっちゃうし、凄いことになっちゃったけど、大相撲、名古屋場所を愛知県体育館 までみにいく。 以前、大阪場所にいったときは、会場入り口でいきなり角界最重量、山本山に 出会ってびびったんだけど、なぜか今回も、入場して、東花道の裏手の通路を うろうろしてたら、最初にであった力士が、まわしをつけた山本山。 永谷園の宣伝がないのはちょっと淋しかったけど、白鵬のきわどい相撲を 楽しんだ後は、名古屋一のディープな商店街大須商店街のなかにある ピザ専門店チェザリに。 相撲のチケットとってすぐにここの予約いれておいたんだけど、予約とった後 に、店主の牧島さんがナポリの大会で見事チャンピオンに輝かはって、 「世界一のマルゲリータ」が食べることのできる店になっちゃった。 「MAKISHIMA Pizza」で検索すると、海外サイトの記事も結構ヒットするし、 なんちゃって世界一ではない様子。 んで、お店にいってみると、なんか場所と店構えに見覚えがある。 どうやら、十年ほど前に大須のライブハウスにクラムボンを聞きに行った 時、商店街をウロウロして、情報なしで飛び込みではいったお店だった 模様。 2階にトラットリア、2階と1階にセルフサービスの人たちむけのカウンター やテーブル席、1階の隣にはバールも併設という複雑な構造のお店。 んでセルフサービスの方だと、一番シンプルな25センチサイズのマルゲリータ ・ポカ・モッツァレラが350円で頼めちゃうと言う値段設定。 ピッツァの文化を日本に広めたいという牧島店長の思想が表れているとのこと。 お持ち帰りやセルフサービスの食べるお客さんたちが、2台あるピザ釜から 次々にやきあがるのを待つのに行列ができていて、隣のバールでは、 サラリーマン達やお姉ちゃんたちやカップルで盛り上がっていて、とにかく 活気がある。 うちらは予約していた2階のトラットリアに。 世界一のピザを始め、2枚ほどピザを。 シンプルだけど、もっちりした生地と、パリッとした縁が美味しくて、 サクサク食べることができて、あっという間になくなって、追加注文。 お店は満席で大混乱してたんだけど、釜が2台もあるからか、 思ったより早くピザがでてきた。 今度大須に行くことがあったら、一階の活気を感じながら食べてみたい。 ちなみに、帰りの名古屋駅横の高島屋で買った、ミシェル・ブランの ケーキは、べったり甘くていまいち。
神戸の南京町中華街をぶらぶら。
新京極にいって粋なお店を探すようなもんかもしれないけど、 並んでいるお店は、あまりに観光客向けな感じでどこも入る 気がしない。 なかにはいいお店もあるのかもしれないけど、事前情報なし できたので、見た目だけの判断でいいお店をみつけるのは なかなか難しそう。 そのなかで、ポツンとビルの2階、3階にあるベトナム家庭料理 のお店を発見。階段の前に飾ってある内装の写真は、ナチュラル 系でいい感じ。 中華街でベトナム料理というのも、まあ歴史的にみて、間違い じゃないだろということで、入ってみることに。 看板に「ヤボツクロ」とあったけど、店名は右から左によま せるということで「ロクツボヤ」というお店だった。 メニューをみるとどれもいい感じで、当たりなお店の匂いが プンプン。 頼んだものはどれもハズレなし。魚介の味がよくでていた 春雨炒めが秀逸。フォーも優しい味で美味しい。 100円!!の香草サラダも、とっても美味しくて、 申し訳ない気分。なんぼでもいける。 やっぱおお当たり。 事前情報なしで入ったお店が当たりだと嬉しい。 追加で注文しようと思ったら、もうお店がいっぱいで、20分 くらいかかると言われて断念。 それで、帰りに小腹をみたすために、立ち食いの肉まんを 買ってみたけど、やっぱり残念な感じで、余韻がきえて、 しまったけど、まあそういうお店に入らなかっただけよしと しよう。 岡本のグラモウディーズに寄って帰ろうと思ったんだけど、 もう遅かったし断念。
ナイトスクープをみてたら、栃木あたりの依頼者から、小さい頃、近所のおばちゃんに読んで貰った
絵本を探すという依頼をやっていた。 依頼者が覚えていることは、絵本は、子供と犬がでてきて、本の中にやたらと「オッチョコチョイ」と いう言葉が出てくるという情報のみ。 それで、タムケン探偵が、東京の国立国会図書館国際子ども図書館に いって、絵本の登場人物を調べる本(これかな?)で、見事、灰谷健次郎の『いえでぼうや』をみつけてた。 番組のなかで、タムケン探偵、こども図書館に行く前に、「さすが東京です すごい所が ありました」というふりで図書館の紹介をしていた。 ナイトスクープでは、3年ほど前にも、同じような依頼があって、そのときは、あの大阪の国際児童 文学館にいって、司書の人の豊かな専門知識で、依頼の本を見つけてたんやけどなあ。 児童文学館関係者が、今回の回みてたら、切なくなるやろうなあ。 「さすが東京」はないやろって。 そういえば、ちょっと前に、橋本知事がナイトスクープにゲストできてて、番組と全然関係のない 政治宣伝だけして帰って行ってた。うーん。 # by din_din_din | 2010-05-08 23:38
酒井駒子さんの絵本が結構好きで、なかでも、あまんきみこさんが文章を
書いて、酒井さんが絵を描いた『きつねのかみさま』は秀逸。 ストーリーも素敵だし、弟君のおでこも最高。 お姉ちゃんの笑顔、目と鼻、口の表現が、まんま小浜かよ子。 ![]() 酒井駒子さんの方が2歳年下なだけでほぼ同年代の人たちだけど、酒井さんの 絵本作家としての活躍が2000年代に入ってからなのに比べて、紡木さんは それこそ10代の時から別冊マーガレットに連載を持ってて、代表作の『ホット ロード』が22歳の1986年1 月から1987 年5月。『瞬きもせず』が1987年 から1990年までの25、6歳ころまでの作品で、活躍した時期は随分違う。 酒井さんの絵をみてると、いわさきちひろさんの影響とかももちろん感じるんだけど 人の表情とかをみてると、すごい、紡木たくさんの影響を感じるんだが、どうなんだろ。 物語を紡ぎだすことで疲弊しちゃった紡木さん、絵本作家として復活してくれない かなあ。
大阪で用事があったので、ついでに今年で閉館の天保山サントリーミュージアムに。
道の向こうから武蔵の巨大ポスターが目に入ってきて、いやでも期待が高まる。 まずは巨大な武蔵の絵がお出迎え。これは上野では直筆だったって奴かな? ほとんど情報をいれずに見に行ったんで、いわゆる原画展なのかとおもったら、 漫画が始まったので、この漫画はいつまで続くのかな、後でスラムダンクの コーナーもあるのかなって思いながら、一つ一つの作品のキャンパスの違い とか、道具の違い、筆遣い、背景の書き込み方、トーンの使い方と墨黒の印象 の違い、一つ一つの作品に対する写植の仕方とかを気にしながらみていって、 途中から、これは空間全体でみせるというスタイルの新作漫画なんだと、ようやく 気づいて、ぶつ切れの作品ではなく、一つの漫画として楽しむことにする。 時系列が行き来するんだけど、基本的に、コマ割もしっかりして、トーンも使った 作品が現在で、頭の中での回想が水墨画という使い分け。 この展覧会のためにどれだけの時間を費やしたのかわからないが、一つ一つ の書き込みの質量に圧倒される。作品一つ一つをみたら、構図や、書き込みなど、 書き直して欲しいなあと思う作品もあったが、140枚だかの量と、それぞれの作品 の豪放さと緻密さと柔らかさに圧倒される。 途中で展示会場が一階下の会場に移るんだけど、その階段の壁にも、直接書き 込みがされていて、そこは布や紙のキャンパスではなくて、壁に直接書かれて いる。 見張り役のスタッフの人に聞くと、その階段は、普段は普通に使っている階段で、 展示会が終わったら、この絵は消すことになると思いますとのことだった。 もったいない。。。 最後の暗から明への展開における大作連作は、普通にびびって、それから 泣いた。 まずはそれぞれの絵の前でみて、それから部屋の一番後ろの壁からに ぺったりついて、他の観覧者が眺めているのをみながら、その絵をみるのが 非常に空間として面白かった。 赤ちゃんの足のプニプニ具合は1歳児で、体の大きさは3歳児くらいの 感じだったけど、あれは武蔵だからおっきいのかな? 全体として、凄いものをみたって感想。 出るのが勿体なくて、平日で大混雑って感じでもなかったんで、ちょっと 逆走して途中からもう一回みた。 これは、海外とかでもうけそうだけど、基本ストーリーはまんまバガボンドで、 武蔵の登場人物を知っていることが前提として話が進んでいるので、そういう 点では難しいか?
南座の顔見せ興行の時なんかも役者さんたちが大挙して
訪れる松尾の肉やさんに数ヶ月ぶりにいってみる。 営業が週末のみになっちゃったけど、美味しさは変わらず。 どこのフレンチで食べる肉よりも上手いんだけど、どうした もんだか。 祇園のステーキ屋さんとか、もっと美味しいんかなあ?
12月になると、バーゲンの案内などのダイレクトメールが毎日の
ようにポストに入ってる。 その名の通り下鴨神社の側にあるおもちゃ屋さん、ただすの森の ハリネズミさんからも素敵なクリスマスカードが届いていたんだけど、 2010年1月でお店を閉めるので、店内大セールとのお知らせが 書いてあった。 ネフ社などの素敵な木製おもちゃがいっぱい置いてあるお店で、 まさにマダムといった感じの、素敵なおばさまがやっておられて、 いつも笑顔で、商品知識も豊富で、安心して買物できるお店の 一つだったのに残念極まりない。 閉店の理由はうかがってないのでわからないけど、不景気が影響 してるんやろうか?いついってもお客さん結構きてはったけどなあ。 お店においている商品をどれも愛おしんでおられたのに、一掃セール って悲しいだろうなあ。
かわきた屋さんでハーブの香りと肉の旨味がたまらないソーセージ
トゥールーズを購入した後、大宮通りを下がっていくと、北大路の手前に 町家カフェを発見。 夕刻だったけど、お店の名前は「昼行燈」。 営業時間は13時~21時で、思いっきり夜までやってるし。 紅茶は堂島ムジカ。京都だと祇園のいの菓子紅茶店とか、北白川の ティーホリックさんのところでも使ってはるかな。 ポットでたっぷりだしてくれる。 一人客が二人いたんだけど、お勉強してたり、読者してたりでまったり 静かな時間が流れていた。 コーヒーもこだわってはるみたいだったし、また今度飲んでみよう。
伏見に行く用事があったんで、何か美味しいところあるかな?
って考えて、確か「玄」とかいう名前のラーメンで評判のいい ところがあったなって携帯で「ラーメン 伏見 玄」でググって、 玄屋さんを発見。行ってみることに。 店の前まで行くと、お目当ての玄屋の隣に北海道を売りにしてて、 子供も歓迎で完全禁煙なお店が。白木張りの店内もいい感じで 黒板メニューのお魚も美味しそうで気になったんだけど、一応、 玄屋に行ってみる。 酒粕ラーメン、魚の出汁があまくて美味しかったけど、麺は好み じゃなかった。いまいち満足しなかったので、お隣のお店に梯子 することに。 hokkaido 高田家さんというお店。 全く聞いたこともなかったけど、「根ホッケ」「時不知(ときしらず)」 「厚岸のカキ」「知床鶏のざんぎ」等々北海道食あふれるメニュー がいっぱい。 バフンウニの刺身、甘くて美味しかったし、アスパラガスも甘くて ジューシーで美味。根ホッケも骨まで美味しかったんで、頭も 骨も、皮も全部綺麗にたいらげた。 店内はそんなに広くないのに、トイレにはオムツ替えシートまで 準備されていて、何故か子供にむっちゃ優しいお店。 店主は、「木の婦」で3年、「うしのほね」で9年働いておられたとのこと。 定食は750円からあるし、近くにあったら、月2くらいは通いそうな お店。伏見に行く用事があったら、また行こう。
映画化もされた『夕凪の街 桜の国』(双葉社、2004年)で有名なこうの
史代さんの新作『この世界の片隅に』上・中・下巻を一気読み。 うーん。凄い。 広島の隣、軍港呉を舞台に、広島から呉に嫁いできたすずの日常生活や 男女の心の機微をユーモラスに優しく描いていく。 全45話の物語は少女時代を描く最初の数回を除いて、後はずーっと、 すずの縁談話が持ち上がる昭和19年12月から、戦争後の昭和21年 1月まで、一話一話、何年何月の回ということで、少しずつその時に 向かって、静かに、しかし、確実に、物語りが進んでいく。 上巻、中巻は、すずの日常が、喜劇的なエピソードをまじえつつ、恋愛 ネタも織り交ぜながら、淡々と描かれていく。そのなかで確実に厳しい ものになっていく戦争体制のなかでの日常生活についても、『呉市史』 掲載の史料なども効果的に使いながら、物語りのなかで描いている。 1ヶ月毎に話を進ませていくという手法(だいたい2話で1ヶ月の話が 描かれる)は、刻一刻と状況が変化するこの時代の物語を書くに あたって、細部までの取材が求められる非常に難しい描写だと思う が、(実際単行本化にあたって、事実の訂正も行われている)先述 した実在の史料を効果的に用いることで、状況の変化が上手く描写 されている。 この題材を描く以上、下巻での展開は当然予期されていたことでもあるが、 そこですずがみせる弱さと強さの描写は、この作者としては意外なほど、 激しいものとなる。 一見のんびりしてて、天然風だが芯の強い主人公すずの持つキャラクター としての魅力は作者、得意の造型。 また些細な日常を抜き取る手法もこの作者ならではの手法。 主題そのものから語られるこうのさんの思想にも共感できるところは多い。 一つの物語としても、全編にちりばめられたエピソードを、伏線として、 次々に回収していきながら、話が展開していくのも、作者のストーリー テーラーとしての技量がいかんなく発揮されている。 (男女関係のエピソードについては、必要な描写であったか、疑問も あるが) 何より随所にみられる冒険的漫画表現が凄い。 ただこの漫画表現がどこまで読者に届くかは微妙な所もあり、その意味 でわかりやすい作品になっていない部分もあるが、そこは仕方がない ところか。 心象風景の具象化としての荒れた背景、時折、失われた右手が織りなす 寓話的物語、そしてなにより、下巻の表紙で、三つ編みを切った後の姿で屈託無く笑う すずを描きながら、カバー折り込みにかくれている、普通にありえたはずだけど、 絶対ありえないことになってしまったすずの姿。 この表紙で描かれているすずと、物語のなかですずに起こった現実との 落差を考えると、すずの微笑みに絶望的な悲しさを覚えたりもするが、 作者としては、ラスト数頁のカラーから続く希望を提示したのだろうか? 何より、自分の一番の代表作と同じ題材に取り組み、それに勝るとも劣らない 作品を見事に描ききった作者の創作者魂に脱帽。
新作といっても2007年12月刊行ということで、ほぼ1年半前のこと。
ネットで偶然、紡木たく12年ぶりに新作発表という書き込みをたまたま みつける。 慌てて検索してみると、1年半前の発売としる。 紡木さんを口説きおとして、原稿できるのも3年待ってようやく出版に こぎつけた編(あむ)書房さんのサイトから直接注文。 どうやら某岩田書店のおじさんのように一人でやっておられる 出版社のよう。 出版物のなかにはキリスト教系のもあって、どうやら、その縁で今回の 口説きも成功したみたい。 紡木さんの作品は高校の時からずっと大好きで、ずっとアンテナは はりつづけてたはずなのに、全くもって不覚。 代表作『ホットロード』までの作品群の題材から、ヤンキー、暴走族 というキーワードで語られることも多く、またその若干敷居の高い 独特の漫画表現から、特にオタク系男子には人気が薄く、酷評 されることも多いわけだが、紡木さんの本質はやはり、人を信じる ことを説き続けたことだと思う。 『瞬きもせず』以降の小品で、その傾向は顕著になるんだけど、 ヤンキー礼賛漫画として誤読される『ホットロード』だって、主人公 和希のママの恋人鈴木君や、和希の担任といった大人の役割な 人々や、和希の恋人ハルヤマが語り続けていたように、家族だろうと 恋人だろうと、友達だろうと、人を愛して信じること、支え合うことを 信じようという強烈なメッセージを作者は発信しつづけていた。 12年の断筆期間に入る直前の作品『隆司永遠』の欄内に書かれた 作者からのメッセージを読むと、連載漫画というメディアからは離れよう とする、引退宣言のようによみとれるメッセージが描かれていた。 それから12年目にだされた『マイ・ガーデナー』。 テーマとしては、『瞬きもせず』以降の作品群の延長。 紡木さんの今の叫びが聞こえてくる良作となっている。 酒井駒子さんやいわさきちひろさんの絵本をみると ふと紡木さんのことを思い出すことがあったんだけど、 絵本とか書いて欲しいなあ。 # by din_din_din | 2009-05-03 01:22
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